花と蛇
豊満な乳房が歓喜にふるえる荒縄縛り!苦痛から快感へ―被虐にのたうつ人妻のうめきがマゾの世界へとあなたを誘う…

1974年 カラー シネマスコープ 73min 日活
制作 松岡明 監督 小沼勝 原作 団鬼六 脚色 田中陽造 企画 五味春雄 撮影 安藤庄平 編集 鈴木晄
音楽 真鍋理一郎 美術 横尾嘉良 録音 片桐登司美 助監督 鴨田好史 照明 木村誠作
出演 谷ナオミ、坂本長利、石津康彦、藤ひろ子、あべ聖、八代康二、高橋明


 『花芯の誘い』で監督デビューした小沼勝監督が、SM作家・団鬼六の同名小説を映画化した本作は、日活ロマンポルノ初の本格的SM映画というふれ込みだったが、小沼監督はその倒錯志向と独自の官能描写で、SMという一種の様式的セックスに挑戦し、期待を裏切らない作品を作り上げた。ヒロイン静子を演じるのは、本作でSMクイーンの称号を得て、SM路線のドル箱スターとして活躍する事になる谷ナオミ。本作で日活ロマンポルノ初主演を成し遂げた彼女は、その後次々と生命力を感じさせる妖艶で豊満な肉体によって、日活プログラムピクチャーにおける一時代を築き上げる。それまで数多くの独立系ピンク映画に出演し、人気スターであった彼女が日活より度重なる出演交渉の末に提示した条件が『花と蛇』の映画化…というものだった。一度は独立プロの手によって映画化された本作だが、プロダクション間における協定の問題で主演を断念せざるを得なかったため、ここで初めて彼女の夢が実現したわけである。主人公・静子をめぐる大河ドラマである本作の脚本化は難航し、鈴木清順作品の脚本家として知られる田中陽造は、団鬼六の原作を大幅に改訂。毛虫、緊縛、宙ずり、スカトロと…SM様式のオンパレードとなっていた試写を見た団鬼六がストーリーの改変と谷ナオミに施すSMに対する美的感覚の異なる緊縛シーンの数々に憤慨したというエピソードが残されている。とは言え本作は大ヒットを記録し、谷ナオミを一気にスターダムへと押し上げてしまったのである。余談ではあるが本作で谷ナオミは完成直後、彼女の劇団員が未成年者であったため警察に収監されており、代わりにオフレコを中川梨絵が担当している。


 大人の玩具店を経営している美代(藤ひろ子)は、終戦当時G・Iたちを相手に肉体を売って、一人息子の誠(石津康彦)を育てあげた。今では一流会社に勤務している誠だが、幼い頃、母を抱いていたG・Iを拳銃で殺して以来、勃起不能になり、わずかに女の緊縛写真を眺めては自慰でまぎらわせていた。ある日、誠は社長の遠山千造(坂本長利)の自宅に呼ばれた。千造は誠母子のことを調べていて、最近千造の欲求を拒む妻の静子(谷ナオミ)を縛って教育してくれ、というのだった。数日後、手筈通り、誠は悪酔いした静子を自分の部屋に連れ込み、ベッドに縛りつけた。眼を覚ました静子は抗議するが、千造のいいつけだと聞いて呆然とする。彼女の着物を剥ぎ取った誠は執拗に責め始めた。初めは悲鳴を上げていた静子だが、次第に恍惚にのたうちはじめていた。興奮した誠は思わず彼女を抱いてしまった。誠の不能が回復したのだ。こうして誠の飼育によってマゾの快感を覚えた静子を、誠は千造に返そうとはせず、自分の玩具のように可愛いがるのだった。しかし、誠と静子は電話ボックスでのセックス行為によって警察に連行され、二人の生活は終わりを告げたかのように思われたが…。


 独立系プロダクションのピンクに出演していた谷ナオミが日活ロマンポルノに初主演した記念すべき作品。と同時に彼女がSMの女王として確固たる地位を確立した代表作と言っても良いであろう緊縛物の名作。本作は、SM界の巨匠・団鬼六原作の同名小説の映画化。既に独立系ピンク映画界で爆発的な人気を博していた谷ナオミに日活は、出演交渉を何度も繰り返していたが、彼女は持ってくる企画に「私じゃなくてもいい」という理由から首を縦に振らなかった。そんな彼女が主演の条件に選んだのが、旧知の間柄である団鬼六原作の『花と蛇』ならば…という事だった。倒錯した性癖を持つ富豪の元に嫁いだ谷ナオミ扮する若妻が監禁され調教される姿を描く。そのアバンギャルドな内容は、後にキューブリックの遺作となった『アイズ・ワイド・シャット』に通じるものがある(勿論、本作がそれ以前に作られた本家本元であるが…)。製作している日活ですら本格SM映画は初めての試み。人間のタブーをどこまで映像化出来るか?が作品の雌雄を決定するのは言うまでもない。ところが、監督の小沼勝と脚本の田中陽造は、そんな不安をものの見事に払拭する作品を作り上げてしまった。それまで団鬼六が描いてきた緊縛美の世界とは敢えて異なるハードコアの路線を選ぶ事で“現実味を帯びた非日常的な世界”を創造したわけである。画面いっぱいに映し出される谷ナオミの苦悶に歪んだ表情は、かなりショッキングな映像となり、試写会で団鬼六は自身が本来抱いていたSMに対する美学との隔たりと、あまりの激しさに「ムチャクチャすぎる。もうやめろ!」と怒り出した程だという。
 大人のオモチャ屋を経営する傍ら売春斡旋をしている母親。かつて母親が客であるGIとの行為を見て性的に不能者になった同居する一人息子。そんな彼に目を付けて貞淑な妻の調教を依頼する社長。この3人の人間たちに陵辱されるのが若く清楚な社長夫人・静子を演じる谷ナオミだ。理由も分からず突然、夫の部下に拉致監禁される恐怖に引きつる谷ナオミの表情は、まるで春画を見ているよう。地下のベッドに縛られ次々と繰り広げられるSMメニュー…彼女の美しい顔立ちが、汚されてゆく快感を男は楽しみ、観客も同様に高揚していく。しかり、男の責めがエスカレートするに連れて、彼女の気品は崩れるどころか、いつの間にか立場は逆転してしまう。母親もまた息子を奪われた嫉妬から彼女を縛り上げるのだが、ここでも谷ナオミが優位に立ち母親は敗北感を味わう。この時の谷ナオミの演技はすごい。一瞬にして苦悶の表情から恍惚の表情へ…怯えた表情から軽蔑の表情へ…淑女から娼婦へ変わるのだ。わずか70分足らずの上映時間の間に一人の女の変貌を無駄なく描き、谷ナオミの内に秘めた魔性を引き出した小沼勝監督は、本作品以降、谷ナオミと名コンビを組み数々のSM作品を送り続けることになるのだ。。

「あなたも虐めていただく?」ラスト近く、静子の身を案じた召使いの女性に向かって怪しげな笑みを浮かべて言うセリフ。そして「男って可愛いわ…」と続く。


レーベル: 日活
販売元: 日活
メーカー品番: BBBN-2009 ディスク枚数:1枚(DVD1枚)
通常価格 2,940円 (税込)

昭和42年(1967)
スペシャル
変質者
寝上手

昭和43年(1968)
女浮世風呂
徳川女系図
肉の飼育

昭和47年(1972)
しなやかな獣たち
性の殺し屋

昭和49年(1974)
花と蛇
生贄夫人

昭和50年(1975)
お柳情炎 縛り肌
レスビアンの世界恍惚
怪猫トルコ風呂
黒薔薇昇天
残酷・黒薔薇私刑
残酷・女高生
 (性)私刑
新妻地獄
濡れた欲情 ひらけ!
 チューリップ

昭和51年(1976)
濡れた壷
花芯の刺青 熟れた壷
奴隷妻
犯す!
夕顔夫人
幼な妻絶叫!!

昭和52年(1977)
(秘)温泉
 岩風呂の情事
幻想夫人絵図
女囚101しゃぶる
性と愛のコリーダ
団鬼六 貴婦人縛り壷
悶絶!!どんでん返し
夜這い海女
檻の中の妖精

昭和53年(1978)
おんなの寝室
 好きくらべ
黒薔薇夫人
団鬼六 縄化粧
団鬼六 薔薇の肉体
縄地獄

昭和54年(1979)
団鬼六 縄と肌

平成12年(2000)
サディスティック
 &マゾヒスティック



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