不良姐御伝 猪の鹿お蝶
本場スウェーデンポルノNO1クリスチナ・リンドバーグ!挑戦を受けてたつのは日本ポルノの女王池玲子!

1973年 カラー シネマスコープ 88min 東映京都
企画 天尾完次 監督、脚本 鈴木則文 助監督 志村正浩 脚本 掛札昌裕 原作 凡天太郎 
撮影 わし尾元也 音楽 荒木一郎 美術 石原昭 録音 堀場一朗 照明 北口光三郎 編集 市田修
出演 池玲子、クリスチナ・リンドバーグ、根岸明美、林真一郎、河津清三郎、名和宏、衣麻遼子
堀陽子、丘ナオミ、一の瀬レナ、岡八郎、三原葉子、早乙女りえ、殿山泰司、遠藤辰雄、大泉滉
碧川ジュン、成瀬正孝、白井孝史、有田剛、森谷譲、内田勝正、中村錦司、蓑和田良太、木谷邦臣


 明治末期を時代背景に数奇な出生の秘密を持つ不良姐御が、父親の仇を討つために変幻自在な活躍をしながら博徒の世界に殴り込んでいく。脚本は森鴎外の名作“舞姫”をモチーフに『エロ将軍と二十一人の愛妾』の掛札昌裕、監督は脚本も執筆している鈴木則文がメガホンを取る。撮影は、鈴木監督作品の常連・わし尾元也が、迫力ある殺陣シーンを作り上げた。音楽は『徳川セックス禁止令 色情大名』の荒木一郎が担当している。『恐怖女子高校』シリーズに引き続き体当たりの演技で挑む池玲子が、ポルノ映画の本場スウェーデンで人気を博している『露出』のクリスチナ・リンドバーグと艶技対決。“新ポルノアクションシリーズ”と告知された本作はポルノとスパイ活劇、そして任侠映画と東映の得意分野がミックスされた。この美しき二人が、裸身姿や濃厚抱擁シーンで恍惚の美を競い合う他、衣麻遼子、碧川ジュン、堀陽子、丘ナオミ、一の瀬レナ…そして東映ポルノ映画には欠かせない熟練・三原葉子といった女優陣に加え、成瀬正孝、林真一郎、河津清三郎、名和広らベテラン演技陣が脇を固める。


 三歳の時、警視庁刑事の父を目の前で殺された葛西杏子=通称・猪の鹿お蝶(池玲子)は、残された犯人の手掛かり猪・鹿・蝶の三枚の花札を持ち、父親の仇を討つ旅を続けていた。お蝶は、おゆきという女郎屋に売られた少女を捜して東京・浅草に来た。岩倉土建の社長岩倉に抱かれようとしていたおゆきを助けるべくお蝶はクリスチーナ(クリスチナ・リンドバーグ)という外人の女とポーカーの勝負を行う。勝負の最中、同邸に居合せた黒川(河津清三郎)を求めて壮士たちが乱入して来た。その中にかつてのクリスチーナの恋人・柊修之肋(成瀬正孝)の姿があった。動揺したクリスチーナはお蝶との勝負に負けた。おゆきを助け出したお蝶は、おゆきから岩倉が鹿の刺青をしていることを聞いた。父の仇の一人が岩倉だった事を知ったお蝶は岩倉を誘い毒殺する。残る父を殺した2人の犯人は、黒川とその妻八重路(三原葉子)であった。しかし、そこには意外な事実が隠されていた。八重路こそお蝶の生みの母で、かつて黒川と結托して葛西を殺し、出奔したのだった。お蝶を逃がそうとした八重路は黒川の手に掛って殺された。一方、スパイの任務を終えたクリスチーナもまた罠にはまり、柊ともども殺されてしまう。やがて、お蝶は独力で縄抜けして、父の仇、黒川の元に単身乗り込むのであった。


 さすが!数多くの任侠映画の名作を世に送り出した東映だけに、加藤泰を彷彿させるローアングルのオープニングが渋い!鈴木則文監督が、ポルノ映画を作る際にフラットな照明にこだわっていた(理由はバカっぽく見えるから…)のに対し、本作におけるトーンは、任侠映画時代の鈴木監督テイストに戻ったように思える。赤い鳥居が連なる道をカメラに向かって鞠を追って走って来る少女(幼い頃の主人公・お蝶)。ポンポン…と転がる鞠が落ちていた凶のおみくじの上で止まる。その直後、少女の前で殺される父親。バラバラと地面に散らばる花札の上に滴る赤い血…そこから始まるオープニングタイトルのカッコイイこと。荒木一郎の音楽をバックに和服姿の池玲子が緋牡丹のお竜よろしく太刀裁きを披露する。
 別に池玲子の引退記念映画ではないのだが、今回はやけに彼女の見せ場が多い。まぁ、池の役はいくつもの賭場を渡り歩いてきた女渡世人だから、カッコ良くて当たり前なのだが…。中でも金沢の稲村一家の賭場で、いかさまを見抜いた入浴中のお蝶を組の男たちが襲うシーンが素晴らしい。風呂から飛び出したお蝶は全裸で、複数の男たち相手に大立ち回りを演じるのだ。同じシーンが谷ナオミ引退記念映画『縄と肌』にもあったが、あちらは半裸状態。全裸で隠しながら立ち回りをするのは、かなりの計算と稽古がなければ実現しない。そういった意味でも凄いのだが、それ以上に池玲子の表情が実にイイのだ。それはエンディングでも同じ。父の仇をうったお蝶が血だらけの体から血を拭い去るシーン。血は拭えてもその下の青刺は消える事はない。歯を食いしばりながら、拭くのを諦めてよろけながら闇の向こうに消えて行く…このシーンで池が見せる刹那さに満ちた苦悶の表情は、御本家である藤純子でも真似できないだろう。父の復讐に女としての人生を封じた主人公が全ての復讐が終わった時に、どんな思いが去来するのか…その心境が見事に表れたシーンだ。
 思えば、本作が公開されたのは『女番長スケバン』シリーズも下火になった頃である。鈴木監督は、この映画で任侠ポルノ路線という新機軸を打ち出そうとしたのかも知れない。かつて、多くの任侠映画の名作を送り出し、続いてパワフルなポルノアクションで観客の度肝を抜いてきた鈴木監督。本作は、鈴木監督の得意とするエッセンスをギュッと詰め込んだ豪華なちゃんこ鍋みたいなもの…面白くないはずがない。それでも、時代の流れを止める事は出来ず、消えてゆく運命にあるプログラムピクチャーのある意味、最後の作品だったのかも知れない。だからこそ、ラストシーンは鈴木監督が自分自身へ向けて(というより、消えゆく東映プログラムピクチャーへ向けて)オマージュを捧げたかったのではなかろうか?本作から2本を撮ってから東映東京に移る事になる鈴木監督の姿と花札が舞い散る中、闇の中に消えゆく池玲子がだぶってしまうのは気のせいではあるまい。

胸には父を殺した犯人が持っている猪鹿蝶の青刺を彫っている池玲子演じるお蝶が語るセリフ「この花札には一生忘れられない思いがこもっているんですよ」。


レーベル:東映ビデオ(株)
販売元: 東映ビデオ(株)
メーカー品番: DSTD-2724 ディスク枚数:1枚(DVD1枚)
通常価格 4,253円 (税込)

昭和46年(1971)
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