JR横須賀線「北鎌倉」駅から5分ほど歩いた処にある“円覚寺”。寺院が多い鎌倉市内でも最も大きなお寺であるため、休日ともなると大勢の観光客で賑わっている。そんな円覚寺の脇道にそれた辺りに墓地がある。さすがに観光客は、墓地まで来ることは無く、ひっそりと静まり返っている。殆どの人が知らないであろう、この場所に映画監督―小津安二郎(明治36年ー昭和38年:享年60歳)氏のお墓がある。境内右手を上っていくと小津安二郎の墓がある。ちょっと分かりにくい場所にあるので、境内に入ってすぐのお守りを売っているお店の方に尋ねると丁寧に教えてもらえる。
 元円覚寺派管長、朝比奈宗源老師揮毫による『無』とただ一文字刻まれた墓石には小津安二郎が昭和13年南京において古刹鶏鳴寺の住持が揮毫した書「その『無』に激しく吹き過ぎる風を、われわれもまた厳粛に受け止めるべきだろう。石はまだ朽ちてはいないのだから」という一文から取っている。今でも墓所には映画ファンのみならず、多くの映画関係者の方が訪れている。また、現在鎌倉に在住している女優―原節子さんが、お線香をあげている姿をお見かけするという。

 今回「日本映画劇場」をスタートするにあたり、御報告のお参りをさせてもらった。特に『映画のある風景』第一回目を飾るには、日本映画を語るには無くてはならない小津監督が永眠する墓所こそが相応しいと思ったからだ。お線香をあげて手を合わせると、頬にあたる晩秋の北鎌倉の山々を抜けてくる風は、いつになく暖かく、そして優しかった。

円覚寺
■鎌倉市山ノ内409
■TEL0467(22)0478
■拝観料200円
■拝観時間 8時〜16時(11月〜3月)

 


日本映画劇場とは看板絵ギャラリーお近づきに…

Produced by funano mameo , Illusted by yamaguchi ai
copylight:(c)2006nihoneiga-gekijou