突然、時間を超える能力を持ってしまった少女の不思議な経験と悲しい恋を描く原田知世主演の大ヒット映画『時をかける少女』。大林宣彦監督の“尾道三部作”の記念すべき第1作目として、瀬戸内海にある港町“尾道”を一躍、観光スポットにしてしまった。しかし、もうひとつの舞台として原田知世演じる主人公・和子と同級生・吾朗(尾美としのり)が住む、情緒溢れる町並みが印象的だった町は“尾道”から電車で1時間足らず…安芸の小京都と呼ばれる“竹原”という小さな町であった事は意外と知られていない。

 JR呉線“竹原”駅から徒歩10分…商店街を抜けて北へ向かうと、まるでタイムスリップしたのかと錯覚するような町並み「町並み保存地区」が目の前に広がる。『時をかける少女』はむしろ“竹原”がメインであり、原田知世が理科室で薬品の臭いをかいで倒れる問題のシーンの直後、3人で歩く町が、ココ「まちなみ保存地区」である事からも明確である。醤油屋を営んでいる尾美としのり演じる吾郎の家は実際にある堀川醤油店を使用しており、今でも自家製の醤油やソースを使ったお好み焼きやとして地元のファンも多い。また、和子と 高柳良一演じる一夫が歩く町を見渡せる小高い山は、市の重要文化財に指定されている西方寺。京都の清水寺を模して建てられた観音堂の美しさは、日本の建築美術を知る上で、基調な存在となっている。



 広島県の南央部に位置し、瀬戸内海に面した“竹原”は、古くは瀬戸内の交通の起点として栄え、室町時代には港町、江戸時代には製塩地として発展。江戸時代、「入り浜式塩田」を用いた製塩の技法によって、竹原塩と呼ばれる名品を産出するに至る。製塩はその後、昭和35年までの300年有余に渡り、竹原を発展させ、塩によって富を築きあげた豪商、商家の華やかな家々は、当時の様子をそのまま残し、その町並みは、“安芸の小京都”と呼ばれ、出格子、棒瓦屋根などを擁した江戸町人文化が、今もそのままの姿で残っている。平成12年、国の重要伝統的建造物群保存地区として「広島風景百選」に選ばれた。

 「町並み保存地区」と呼ばれるこの地区は、縦横に交差する何本もの通りや路地から成っている。南北に走る中心の本町通りは白壁と飴色の格子が続き、北端の突き当たりには映画でも使われていた「胡堂」がある。通りには江戸中期から続く酒屋の建物を酒の資料館として開放している「竹鶴酒造」や“竹原”最古の建築物(1690年築)「吉井邸」などが見られる。その途中、交差している大小路に入るとまた違った風景が広がり、中でも重々しい数寄屋風建築の「春風館・復古館」は圧巻。

 「町並み保存地区」の建物には個人所有のものが多く、実際にそこで生活をしている。だから、家の中からピアノの音が聞こえたり、普通に学校帰りの子供たちが「バイバイ」と言いながら重要文化財の家に入っていく光景が当たり前のように見られる。通りを歩き、そう…今もここにある家は生きて呼吸をしているのだ。

竹原市観光協会ホームページ

 


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