雪よけの風防エントランスには緑と白の市松模様のタイル壁と大正湯の看板が出迎えてくれる。入口をくぐると、現在では殆ど見なくなった番台と昔懐かしい木製の錠が付いている木の下駄箱。脱衣所には無造作に置かれた脱衣籠がかつての銭湯の風情を漂わせている。そんなに広くない脱衣所にはデジタルではない昔ながらの体重計と、これまたレトロなマッサージチェアがあるのが嬉しい。タオルを忘れてしまった筆者がタオルと石けんを購入しようとすると番台のおばちゃんが、使っていないタオルを自由に使って…と無料でくれた。改装された浴室は清潔で、ケロリンの風呂桶がまたしても郷愁を誘う。お風呂上がりにはお約束のビン牛乳を一気飲み、併設してコインランドリーもあり旅行者にはうれしい。
大正湯:函館市弥生町14-9

 ある朝、突然シッポが生えてしまった女子高生・ひかる。一躍パコダテ人と呼ばれ、時の人となる少女を巡る騒動を描いた前田哲監督による青春ファンタジー『パコダテ人』。宮崎あおい演じる主人公の実家という設定となっていた老舗の銭湯が、ここ『大正湯』である。市電の“函館どつく前”から船見坂(振り向いて坂の下を見下ろすと函館の港が一望。まさに名前の通り船が行き交う風景が見られる坂だ。2年前までは大型船を建造するドックも見えていた。)という短い坂を上りきるとピンクの外観が印象的な古い洋館スタイルの建物が目に入る。今でも多くの観光客が訪れては記念撮影に乗じる『大正湯』が創業されたのは昭和3年…洋風下見板張りの外観は函館西部地区に多く見られる上下和洋折衷型の建物で、函館市景観形成指定建造物に指定されている。


 


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