WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜
誰も見たことのないノンストップ大木エンタテインメント!!

2014年 カラー ビスタサイズ 116min 東宝配給
エグゼクティブプロデューサー 濱名一哉 監督、脚本 矢口史靖 原作 三浦しをん 撮影 芦澤明子
美術 花谷秀文 音楽 野村卓史 録音 石貝洋 照明 永田英則 編集 宮島竜治
出演 染谷将太、長澤まさみ、伊藤英明、優香、西田尚美、マキタスポーツ、有福正志、近藤芳正
光石研、柄本明

2014年5月10日全国ロードショー公開中
(C)2014「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」製作委員会


 『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』『ロボジー』と数々のヒット作を世に送り出してきた、日本で最も注目を集める矢口史靖監督の待望の最新作。『これまでユニークなモチーフに目をつけ、日本中に笑いと感動を届けてきた矢口監督が次に選んだのは、林業。2009年に発売され、2010年度本屋大賞第4位を獲得し、シリーズ累計発行部数35万部を超える三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」を原作に、矢口監督が丹念な取材の成果を加味して脚本を起こした。主人公・勇気には、『ヒミズ』で第68回ベネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)を日本人初受賞し、今や最もオファーの多い若手俳優といわれる“日本映画の申し子”染谷将太。ヒロイン・直紀には、『世界の中心で、愛をさけぶ』から、『モテキ』で大人の女性へと脱皮した長澤まさみ。さらに、最重要キャラクター“林業の天才”“荒ぶる山の神”ことヨキ役には、『海猿』の実力派俳優・伊藤英明と、実力派俳優陣が集結。配役には強いこだわりを持つことで知られる矢口監督も“理想のキャスティングが実現”と胸を張る、名実ともに日本を代表する≪最強のキャスト≫が揃った。


※物語の結末にふれている部分がございますので予めご了承下さい。
 毎日お気楽に過ごしていた、チャランポランな男子・勇気(染谷将太)は、大学受験に失敗、彼女にもフラれ、進路も決まらないまま、散々な状態で高校の卒業式を迎える。そんな時、ふと目にしたパンフレットの表紙でほほ笑む美女につられ、街から逃げ出すように1年間の林業研修プログラムに参加することに。ローカル線を乗り継ぎ降り立ったのは、ケータイの電波も届かぬ“超”が付くほどの田舎・神去(かむさり)村。鹿やら蛇やら虫だらけの山、同じ人間とは思えないほど凶暴で野生的な先輩・ヨキ(伊藤英明)、命がいくつあっても足りない過酷な林業の現場…。耐えきれず逃げ出そうとする勇気だったが、例の表紙の美女・直紀(長澤まさみ)が村に住んでいると知り、留まる事を決意するが…。休む間もなくやってくる新体験、野趣あふれる田舎暮らし、底なしに魅力的な村人に囲まれ、勇気は少しずつ変化してゆく。果たして、勇気と直紀の恋の行方は?勇気は無事に生きて帰れるのか!?


 大学受験に失敗して彼女にフラれるという大した挫折でも無い挫折を味わった青年が甘い気持ちで出掛けて行った山の奥の更に奥…何本もの電車に乗り継いで、最後は一日に数本しか走らない単線の無人駅。呑気な主人公が慌てふためくオープニングから矢口史靖監督ワールドが全開。今回は矢口監督としては珍しい三浦しをんによる林業をテーマとした原作ものだ。ここまでくると大概の職業はエンターテイメントになるもんだなぁと、着眼点と作り方次第で映画のネタは無限にあるのだとつくづく思う。勿論、それを面白くするのが至難の技なのだが…。
 前作『ハッピーフライト』は空港に従事する職員と、飛行機に乗るパイロットやキャビンアテンダントが様々なアクシデントに直面しながら職務を全うする姿を描いた優れた群像劇に仕上がっていた。何よりも適材適所に配置されたキャスティングの妙が成功の要因であった。そして本作…募集パンフに載っている女の子に惹かれ(よく読むと「写真はイメージです」の注釈に爆笑)山奥の辺境の駅に着いた途端に後悔しまくる主人公・勇気に扮した染谷将太がイイ。今まで『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』や『ヒミズ』といったクセの強い役が多かった染谷が、こんなフツーの青年(しかも後半は林業に真摯に取り組む頼もしい好青年に変貌)を結構、伸び伸び演じたりして…ちょっと新鮮な驚き。電車に乗る主人公の背景がどんどん山奥に入って行く映像だけで全ての世界観を表してしまう矢口監督の語り口が心憎い。かくして、都会から来た甘っちょろい連中に苛立ちを隠せない山男を演じた伊藤英明(普通のスピードを出している軽トラに家の庭先を突っ切って軽々と走り込んで飛び乗るまでをワンカットで見せる離れ技を披露)に怒鳴られまくる主人公がどうなって行くか…は、矢口監督お得意の成長物語なので安心して観ていられる。前半調子が合わない二人のやりとりが、自然な成り行きで噛み合ってくる絶妙なスピード感にはいつもながら感服せずにはいられない。
 高い木のてっぺんで最初は不格好に枝打ちしていた勇気が、手際良く木の生育を確認しながら種取り作業を進めるまでに成長した姿をフィックスで捉える芦澤明子のカメラは見事。山のシーンは全てフィルムで撮影されたという遠くに連なる神去村(ロケ地となる三重県美杉村)の山々や雨に濡れた杉の葉の奥深い緑は神々しくもある。(芦澤カメラマンは雨の映像は『わが母の記』でも実証済だが本当に美しい)本作で印象的なのは、雨や霧を神秘的な自然現象としているくだり。神隠しにあった子供を探しに山に入った勇気の前に立ち込める深い霧…手探りで前に進もうとする勇気の手を何者かが引っ張る。しばらくすると霧が晴れていつの間にか山の頂上に。そしてそこには神隠しにあった子供が立っていて、勇気の手には米粒がついている。(これは前日に勇気が山にあった道祖神に自分のおにぎりを半分お供えしたエピソードに因る)林業一辺倒ではなく、少しまわり道をしてでも山に宿る霊的な存在を見せる事で、山に対して畏敬の念を抱くようになった主人公の心的成長がしっかり描かれていたのは矢口監督らしい優しさを感じられた。

「ええ仕事をしたかどうか、結果が出るのはオレらが死んだ後や」光石研演じる林業家が苗木を植えながら主人公に言うセリフ。こうして何百年も世代を渡って繰り返されているのだ。

【矢口 史靖 監督作】
フィルモグラフィー

平成5年(1993)
裸足のピクニック

平成8年(1996)
ワンピース忠臣蔵

平成9年(1997)
ひみつの花園

平成11年(1999)
アドレナリンドライブ

平成13年(2001)
ウォーターボーイズ

平成14年(2002)
パルコフィクション

平成16年(2004)
スウィングガールズ

平成19年(2007)
歌謡曲だよ、人生は

平成20年(2008)
ハッピーフライト

平成23年(2011)
ロボジー

平成26年(2014)
WOOD JOB!(ウッジョブ!)神去なあなあ日常



日本映画劇場とは看板絵ギャラリーお近づきに…

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