神さまの言うとおり
退屈だった日常が、「生」をかけたゲームになる。

2014年 カラー シネマスコープ 117min 東宝配給
エグゼクティブ・プロデューサー 山内章弘 監督 三池崇史 脚本 八津弘幸 ART 藤村緋二
原作 金城宗幸  撮影 北信康 美術 橋本創 装飾 坂本朗 音楽 遠藤浩二 照明 渡部嘉 録音 仲村淳
出演 福士蒼汰、山崎紘菜、染谷将太、優希美青、大森南朋、リリー・フランキー、神木隆之介
トミーズ雅、前田敦子、肥後克広、上島竜平、寺門ジモン、山崎努、渡辺哲

2014年11月15日(土)全国東宝系にてロードショー
(C)2014「神さまの言うとおり」製作委員会


 2011年3月号から「別冊少年マガジン」(17万部/講談社)にて連載が開始された本作『神さまの言うとおり』は、その衝撃的な展開と絶妙な緊迫感から着々とファンを増やし、その人気を受け「週刊少年マガジン」(136万部/講談社)に移籍。現在『神さまの言うとおり 弐』として好評連載中です。コミックスも版数を増やし、今後さらなる盛り上がりが期待できる本作を、先駆けて実写映画化。映画のコンセプトは、巻き込まれ型のジェットコースタームービー。『神さまの言うとおり』の魅力は、突如巻き込まれることによる恐怖感や不条理感、次々とやってくる課題に「負ければ死」という緊迫感、そして黒幕の正体が分からない謎です。この三つにより『神さまの言うとおり』は、他のデスゲーム漫画の追随を許さない独特の世界を作り出しています。さらに映画版では、原作にはないオリジナルのゲームを描き、原作ファンも新鮮な気持ちで楽しめる内容となっています。


※物語の結末にふれている部分がございますので予めご了承下さい。
 退屈な日常にうんざりしている高校生・高畑瞬(福士蒼汰)。ところがある日、突如として教室に現れたダルマさんが、命をかけた授業の始まりを告げる。そのクラスでただ一人生き残った瞬は、同級生の天谷武(神木隆之介)や幼なじみの秋元いちか(山崎紘菜)と共に、何ものかから突きつけられた死を賭けたゲームを進める事になる。ダルマ、まねき猫、コケシ、シロクマ、マトリョーシカ…次々と生き残った生徒たちを襲う刺客たち。動き、しゃべる、愛くるしくて不気味な彼らから次々と出される課題をクリアしなければ即、死。これは遊び? 何の為に? 神の子とは?瞬をはじめ生き残った高校生たちを待っていたものとは…。


 例によって金城宗幸の原作コミックは未読のまま吉祥寺オデヲンの初日に観賞。後ろの席には原作ファンの高校生と思しき男子7人のグループがワイワイ一列を占めていた。問答無用の不条理殺戮バイオレンス…といえば、三池崇史監督の十八番。いきなり頭を吹き飛ばされる生徒と、苦悶の表情で固まる福士蒼汰のアップから始まる三池テイスト満載の冒頭にアドレナリンが放出されて軽く武者震い。高校の教室、教壇には凄まじい形相の達磨、そして一歩も動けない生徒たち、床には既に犠牲となった生徒の死体…何が起きているのか?これからどうなって行くのか?全く予測も出来ない展開に、やっぱり原作読まなくて良かったと思う。読んでたらこんなドキドキ感、味わえないもんね。ともあれ三池監督は原作の毒気や禍々しさを自己流にアレンジして映像化してみせたようである。
 突然、高校の教室に現れた達磨が始める“達磨さんが転んだ”(駄洒落か?)に、訳も分からず強制的に参加させられ体を動かした生徒たちは次々と頭吹っ飛ばされてしまう(血飛沫を赤いビー玉で表現するのは上手い!)。唯一生き残った主人公は次のステージへ進み、招き猫やコケシ、マトリョシカといった可愛い民芸品(トミーズ雅や前田敦子が吹き替えを担当している)と死を賭けたゲームを繰り広げるのだが、誰が何の目的で?という理由は最後まで語られず終い。理不尽な現実が主人公たちの前に立ちはだかる。子供の頃にやった親しみあるゲームなだけに、脱落者が容赦なく殺される描写がショッキングというより不快感を覚える。勿論、これが狙いだからOKなのだが好き嫌いが分かれるのは必至。前作『悪の教典』でもサイコパスの教師が意味なく生徒たちを殺していく描写から作品の出来というよりも後味の悪い内容から、評価も賛否両論(AKBの大島優子も嫌いと公言していたほど)キレイに分かれた。後味の悪さから言えば本作も負けず劣らずだ。元々三池監督は満遍なく観客から受け入れられるヌルい作品を作ろうなんて、ハナから考えておらず、やるからにはレーティングなんて無視して徹底的にやってくれる。“視聴者様の言うとおり”のドラマしか作れなくなったテレビに向かって「どーだ、映画ってここまで出来るんだぜ!」と言わんばかりに過激な描写を放り込んでくる。その不良っぽさが挑戦的でイイです。
 映画の中盤あたりで、どうやら世界中の高校で同じ事が行われているらしいという事が中盤、テレビの報道で判明するのだが、それもそこまで。我々の信じる神様(が、たとえいたとしたら)が、愛する人の命を突然、奪う事に理由なんてないじゃないか?と言わんばかりに死のゲームを正当化もしなければ否定もしない。『バトルロワイアル』以降、『ハンガー・ゲーム』や『インシテミル』といった生き残りゲームを題材にした映画が増えてきたが、そこには何らかの(ゲームに参加する)理由付けがされてきた。ところが、本作も前述の『悪の教典』も殺す側の理由は希釈だ。ただ、得体の知れない民芸品か、もしくはサイコパス教師の攻撃から生還するため生徒たちは行動する。三池監督は『悪の教典』公開時に、悪はエンタテイメントの世界が生み出した虚像に過ぎなく、観客に爽快感を与える存在として作られたもの…と、独自の「悪について考察」を語っていたのを思い出す。映画が終わって後ろの高校生が友人に「胸くそ悪い映画見せやがって」と文句を言っていたが、これが正しい反応なのだ。不快感を抱いたまま映画館を出る…それこそが三池監督が狙っていたものだと思う。

「神さま…僕の退屈な日常を返してください」主人公のこのセリフから始まる。極限状態に陥って初めて平凡な生活のありがたさを実感するのだ。

【三池 崇史監督作品】

平成7年(1995)
第三の極道
新宿黒社会チャイナマフィア戦争

平成8年(1996)
極道戦国志 不動

平成9年(1997)
岸和田少年愚連隊
 血煙り純情篇
極道黒社会

平成10年(1998)
中国の鳥人
アンドロメデイア
岸和田少年愚連隊
 望郷

平成11年(1999)
日本黒社会
サラリーマン金太郎
DEAD OR ALIVE
 犯罪者

平成12年(2000)
オーディション
漂流街
DEAD OR ALIVE2
 逃亡者

平成13年(2001)
ビジターQ
天国から来た男たち
殺し屋1

平成14年(2002)
DEAD OR ALIVE FINAL
カタクリ家の幸福
荒ぶる魂たち
新・仁義の墓場
極道聖戦
金融破滅ニッポン
 桃源郷の人々
SABU さぶ

平成15年(2003)
許されざる者
極道恐怖大劇場
 牛頭 GOZU

平成16年(2004)
着信アリ
ゼブラーマン
IZO

平成17年(2005)
妖怪大戦争

平成19年(2007)
スキヤキ・ウエスタン
 ジャンゴ
クローズZERO

平成21年(2009)
ヤッターマン

平成22年(2010)
十三人の刺客
ゼブラーマン
 ゼブラシティの逆襲

平成23年(2011)
一命
忍たま乱太郎

平成24年(2012)
悪の教典
愛と誠
逆転裁判

平成25年(2013)
藁の楯

平成26年(2014)
土竜の唄
 潜入捜査官 REIJI
喰女 クイメ
神さまの言うとおり



日本映画劇場とは看板絵ギャラリーお近づきに…

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