イニシエーション・ラブ
最後の5分、全てが覆る。あなたは必ず、2回観る。

2015年 カラー ビスタサイズ 109min 東宝配給
ゼネラルプロデューサー 奥田誠治 監督 堤幸彦 脚本 井上テテ 原作 乾くるみ 撮影 唐沢悟
音楽 ガブリエル・ロベルト 照明 木村匡博 録音 鴇田満男 美術 相馬直樹 編集 伊藤伸行
出演 松田翔太、前田敦子、木村文乃、三浦貴大、前野朋哉、森岡龍、矢野聖人、藤原季節、吉谷彩子
松浦雅、八重樫琴美、大西礼芳、佐藤玲、山西惇、木梨憲武、手塚理美、片岡鶴太郎

(C) 2015 乾くるみ/「イニシエーション・ラブ」製作委員会


 甘く切ない、一見純粋なラブストーリーが、最後の2行で驚愕のミステリーへと変貌する…そんな独創性が話題を呼び、発行部数130万部(2015年1月現在)を超えた大ヒット小説「イニシエーション・ラブ」が、ついに映画化されます!主演は、映画・ドラマなどで、圧倒的な存在感を放つ実力派俳優・松田翔太。二人の女性の中で揺れ動き、物語のカギを握る主人公・鈴木という難しい役を演じ切りました。ヒロインは前田敦子。幅広いジャンルで活躍する彼女が、“究極のかわいらしさ”を体現するマユという役柄で、新境地を開拓。更に、2015年最も注目される女優・木村文乃が、洗練された東京の女・美弥子を演じ、妖艶な魅力を存分に発揮します。本作を監督するのは、『20世紀少年』『TRICK』『SPEC』を生んだ堤幸彦。「映像化不可能」と言われた原作に、日本映画界を牽引する鬼才が挑みます。新たな映像的ギミック。原作とは異なる衝撃のエンディング。映画最後の5分、これまでのラブストーリーの常識を覆す、日本映画史上に残るラストシーンは最大の見所だ。


※物語の結末にふれている部分がございますので予めご了承下さい。
 <Side-A>
1980年代後半、バブル最盛期の静岡。就職活動中の大学生・鈴木は、友人に誘われ気乗りしないまま、合コンに参加。しかし、その席で、歯科助手のマユと運命的な出会いを果たす。奥手で恋愛経験がなかった鈴木だが、マユと出会って変わっていく。流行りのヘアスタイル、オシャレな洋服、マユに釣り合う男性になろうと自分を磨く鈴木だったが…。
 <Side-B>
二人だけの甘い時間も束の間、就職した鈴木は東京本社へ転勤となり、静岡にマユを置いて上京することに。それでも距離は二人の愛にとって障害にならないと、週末ごとに東京と静岡を行き来する鈴木。しかし、東京本社の同僚・美弥子との出会いを経て、心が揺れ始める…。


 騙されてみよーじゃないの!散々アチコチの予告編で、我々観客の好奇心を挑発し続けてきた堤幸彦監督に、真っ向勝負を挑む感覚で、金曜日の夜…カップルの多いシネコン品川プリンスシネマで一人観賞。我がシチュエーションと映画の内容に妙なシンクロを覚えてしまった。時はバブル前夜の1980年代…世は誰もが浮かれまくっていた現代のロココ時代だ。簡単に言えば、ボーイ・ミーツ・ガール…自分の容姿に自信の無い理系男子が、人数合わせで誘われた合コンで可愛い女の子と出逢い、恋に落ちる…という単純なストーリー。やがて月日は流れ二人の間にも少しずつ変化が訪れるという、ホイチョイ・プロダクションのような恋愛ドラマが静岡と東京を舞台に繰り広げられる。前半(本作ではSide-Aとなっている)は、二人が少しずつ距離を縮めていく過程を堤監督は、かなりリアルに描いている。
 騙されるのを承知だから、今回も敢えて乾くるみの原作は未読のまま。時代背景は原作と同じく80年代後半として、象徴的に使われている楽曲は、原作では章のタイトルとなっているそうな。リアルに当時を生きた堤監督…80年代の風俗に、ヒット曲を散りばめて、目と耳から観客に80年代の雰囲気を刷り込ませたのは大成功。これは同じオフィスクレッシェンド制作の『モテキ』で、J-POPパワーの手応えを掴んだからか?ともあれ、見事なまでの堤マジック!上手くハマっていたジグソーパズルを一気にバラすかのようなラスト5分の鮮やかさに、ただ感服するしかない。
 この物語が成り立つのは、やはり80年代という異常な時代だったからこそか?デブでサエない男が美少女と接近するくだりのドキドキ感と盛り上がりは、80年代に青春時代を過ごしていた人なら、分かる分かる…と共感するところが多かったに違いない。劇中のセリフで登場する大ヒットTVドラマ『男女7人秋物語』(おぉっ!片岡鶴太郎と手塚理美を夫婦役で登場させるなんて、堤監督のユーモアが光る!)も冷静に考えれば、仲間うちでアッチと寝たりコッチと寝たり…純愛とは程遠い設定に視聴者は憧れていたのだから、本作に出てくる人物たちの浮き足立ち方は、あながちフィクションとも言えない。それにしても…人間の思い込みを逆手に取ったギミックは、最近も感心させられた『君が生きた証』に共通するものがある。あの映画の後に、自分の思い込みに反省したのに、またやっちゃた…と今回も気持ち良く騙されてしまいました。特筆すべきはヒロイン盛岡繭子に扮する前田敦子の演技力。金曜日の夜に一人で食事をしたくないから…とデートに誘う積極性に最初は何か裏がある?と思ったりしたが、そうした疑心暗鬼すらも忘れさせるコケティッシュな天然の魅力は、さすがとしか言いようがない。彼女特有の鼻がかったイントネーションに騙されてしまうのは、男がバカなのか…女が上手なのか…さすがにこれ以上はネタバレしてしまうので書けないが、途中で、あっ!ここだったか!と、女性の強かな学習能力と、サッサと応用してしまう立ち直りの早さは、男には到底無理な技だ。

「じゃあ、どこかで失恋したカップルが、いたって事だ」クリスマスの夜、満室だったシティホテルに空室が出た時に言うマユのセリフ。

【堤幸彦監督】
フィルモグラフィー

昭和63年(1988)
バカヤロー!
 私、怒ってます

平成7年(1995)
さよならニッポン!

平成9年(1997)
金田一少年の事件簿
 上海魚人伝説

平成10年(1998)
新生トイレの花子さん

平成12年(2000)
ケイゾク

平成13年(2001)
溺れる魚

平成14年(2002)
EGG
2LDK
荒神
HIJIKI
TRICK トリック劇場版
ピカンチ
 LIFE IS HARD だけどHAPPY

平成15年(2003)
恋愛寫眞

平成16年(2004)
ピカンチ
 LIFE IS HARD だからHAPPY

平成17年(2005)
明日の記憶

平成18年(2006)
大帝の剣
TRICK トリック2
サイレン

平成19年(2007)
自虐の詩
包帯クラブ

平成20年(2008)
20世紀少年
まぼろしの邪馬台国
スシ王子!
 ニューヨークへ行く
20世紀少年 第2章
 最後の希望

平成21年(2009)
20世紀少年 最終章
 ぼくらの旗

平成22年(2010)
BECK
TRICK
 霊能力者バトルロイヤル

平成23年(2011)
はやぶさ HAYABUSA

平成24年(2012)
エイトレンジャー
MY HOUSE
堂本剛
 平安神宮公演2011
 平安結祈heianyuk
劇場版 SPEC 天

平成25年(2013)
くちづけ

平成26年(2014)
エイトレンジャー2

平成27年(2015)
悼む人
イニシエーション・ラブ
天空の蜂



日本映画劇場とは看板絵ギャラリーお近づきに…

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