GONIN サーガ
血と宿命に彩られた、心揺さぶるバイオレンス・エンタテインメント!

2015年 カラー シネマスコープサイズ 129min KADOKAWA/ポニーキャニオン配給
監督、脚本 石井隆 エグゼクティブプロデューサー 井上伸一郎 企画 菊池剛、加茂克也
プロデューサー 二宮直彦、阿知波孝 撮影 佐々木原保志、山本圭昭 音楽 安川午朗
照明 祷宮信 録音 郡弘道 美術 鈴木隆之 主題歌 ちあきなおみ、森田童子

出演 東出昌大、桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信、テリー伊藤、井上晴美、りりィ 
福島リラ、松本若菜、菅田俊、井坂俊哉、根津甚八、鶴見辰吾、竹中直人、佐藤浩市 

(C) 2015『GONIN サーガ』製作委員会


 70年代『仁義なき戦い』、80年代『その男、凶暴につき』、00年代『アウトレイジ』—時代を彩ったバイオレンス映画の中でも90年代半ば、1995年に公開された伝説の映画『GONIN』。佐藤浩市、本木雅弘、根津甚八、椎名桔平、竹中直人、ビートたけし等、超豪華キャストが出演し、バイオレンスアクションの傑作として国内・海外から注目を集め、公開当初から続編の製作を希望する声が絶えなかった。そして2015年、長きに渡る沈黙を破り、『GONIN』の続編として新たなサーガ(伝説)が遂に幕を開ける。監督は、日本映画界傑出の鬼才・石井隆。前作に続き本作でも監督・脚本を務め、前作『GONIN』から繋がる壮大な物語を並々ならぬ想いで描く。主演は今後も出演作目白押しの若き逸材、『クローズEXPLODE』の東出昌大。共演には、『オカンの嫁入り』の桐谷健太、『さくらん』の土屋アンナ、『フィギュアなあなた』の柄本 佑、『キッズ・リターン』の安藤政信といった前作に劣らぬ豪華で個性豊かなメインキャストに加え、竹中直人、福島リラ、井上晴美、テリー伊藤など実力派のキャストが結集!さらに前作で死んだと思われていた氷頭役で、5年前俳優引退を宣言した根津甚八が本作のために一度きりの復活!佐藤浩市、鶴見辰吾も前作と同じく、それぞれ万代、久松役で本作に出演。登場人物さながらの熱い想いとともに、物語を盛り上げる。


※物語の結末にふれている部分がございますので予めご了承下さい。
 五人の男たちが広域指定暴力団五誠会系大越組を襲ってから19年後、五誠会は初代会長・式根の孫にあたる誠司(安藤政信)が三代目となり、勢力を伸ばしていた。19年前の事件で命を落とした大越組若頭・久松の遺児・勇人(東出昌大)は建設作業員として働き堅気の道を行き、大越組組長の遺児・大輔(桐谷健太)は誠司の用心棒をしつつ、いつか組を再興させたいと願っていた。ある日、勇人の母・安恵のもとに富田と名乗るルポライター(柄本佑)がやってくる。19年前の事件を追う彼の出現により勇人らの運命が動きはじめ、誠司の愛人である元アイドル(土屋アンナ)を巻き込んだ新たな戦いが始まる…。


 期待していた以上に楽しめた。とかく、こうしたカリスマ性の高い人気作の続編には、熱狂的なファンから物言いが付くものだが、前作の設定をシッカリ踏襲しており、満足のいく仕上がりになっていたのではないだろうか。よく前作を未見でも充分楽しめる映画…なんて推薦文を見かけるが、この映画に関しては、もし前作を観ずに映画館に来ているヤツがいたら、「バカヤロー!前作を観て出直して来い」と言いたい。前作で象徴的だったセリフ(鶴見辰吾が佐藤浩一に銃を突きつけて言う「携帯出ろよな〜」を息子に言わせたり…とか)をセルフパロディーとして使ったり、石井隆監督のサービス精神にも思わずニンマリ。ファンとして変わって欲しくないところと、敢えて期待を裏切ってもらいたいところを微妙にくすぐってくる心理をついた演出の妙。何よりクライマックスの銃撃戦に至っては、今年69歳の石井監督…このバイタリティには驚かされる。
 まず、オープニングがイイ!安川午トが手がけた和太鼓を中心とした打楽器で構成されたオリジナルナンバーから始まると思いきや…だ。女性版となる次作の『GONIN2』も同じ構成だっただけに、予想外の「紅い花」というのがシビれるではないか。この曲が過去と現代を結ぶハブとなっており、「紅い花」を聴きながら絶命した本木雅弘のエンディングから続く静かなオープニングに心が昂らなきゃ嘘だ。東出昌広演じる久松勇人(前作で鶴見辰吾が扮した大越組・若頭の息子)が、父の遺体と対面した場所(事件現場の大越組事務所前ではない)に花を手向けているところにやってきた桐谷健太演じる大越組組長のジュニア大輔のツーショットがイイ絵になっている。
 19年前、今は亡き松竹の直営館「渋谷松竹」で前作を観た。5人の崖っぷちに立たされた男たちが、暴力団の五誠会系大越組から1億円を奪い、組に雇われたヒットマンによって一人ずつ、命を落としていくというバイオレンスもさることながら、猟奇的なストーリーと映像に惚れ込んで3回立て続けて観た。何より竹中直人演じるリストラされたサラリーマンが、実は家族を惨殺していた…という設定に、ステレオタイプのアクション映画とは明らかに違う新しさを感じた。
 本作はその『GONIN』の後日談として正当な流れをくむ続編となっており、主人公は、全て前作で死んだ人間の関係者だ。タイトルに、サーガと付けられているように、本作に登場する若者たちは過去の呪縛から抜け出せず、未だに地を這いずって生きているヤツらばかり。前作で壮絶な死を遂げた男たちの第二世代が送ってきた人生と、そこから派生する新たな復讐劇が描かれている。全ての責任をおっ被せられ破門という不当な扱いをされた夫の名誉のため、毎年、命日に五誠会に怒鳴り込んでいる久松の未亡人を演じた井上晴美が『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』に続くぶっち切れキャラを熱演。それでも母一人子一人で何とかギリギリの生活を保っていたところへ一石を投じる柄本佑演じるフリーのルポライター富田という若者が、前作でビートたけし演じるヒットマンに殺されたパトカーに乗った警官の息子にしたのは見事。前作には無かったパトカーの中から捉えたショットを新撮したりして、かなりマニアックなファンもこれには脱帽。35mmフィルムの画像と色調を合わせるこだわり…石井監督と長年タッグを組んでいる佐々木原保志カメラマンの映像には感服してしまう。
 何より、死んだと思われていた根津甚八演じる氷頭が、実は昏睡状態のまま生きていたという設定が実現したのも既に病気で引退していた根津を説得して再びスクリーンに引っ張り出した石井監督の執念から。根津が承諾しなかったら、この続編はあり得なかった…というのも充分理解できる。そこに佐藤浩一が特別出演と呼ぶには、有り余る程の存在感を持って根津と絡むシーンは、もう鳥肌級のカッコよさだ。

「何で死なねえんだよ!」クライマックス、“バース”での銃撃戦で、何発も銃弾を浴びながらも倒れない勇人に向かって誠司が怒鳴る。これが石井隆ガンアクションの真髄だ。

【石井隆監督作品】

昭和63年(1988)
天使のはらわた
 赤い眩暈

平成3年(1991)
月下の蘭

平成4年(1992)
死んでもいい

平成5年(1993)
ヌードの夜

平成6年(1994)
夜がまたくる
天使のはらわた
 赤い閃光

平成7年(1995)
GONIN

平成8年(1996)
GONIN 2

平成10年(1998)
黒の天使Vol.1

平成11年(1999)
黒の天使Vol.2

平成12年(2000)
フリーズ・ミー

平成13年(2001)
TOKYO G.P

平成15年(2003)
花と蛇

平成15年(2005)
花と蛇2 パリ/静子

平成19年(2007)
人が人を愛することのどうしようもなさ

平成22年(2010)
ヌードの夜
 愛は惜しみなく奪う

平成24年(2012)
甘い鞭

平成25年(2013)
フィギュアなあなた

平成27年(2015)
GONIN サーガ



日本映画劇場とは看板絵ギャラリーお近づきに…

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