セーラー服と機関銃 -卒業-
角川映画40周年記念作品。赤川次郎が生んだ、伝説のヒロイン、復活!!

2016年 カラー シネマスコープサイズ 119min KADOKAWA配給
監督 前田弘二 原作 赤川次郎 脚本 高田亮 エグゼクティブプロデューサー 井上伸一郎
企画 菊池剛 プロデューサー 星野秀樹 撮影 相馬大輔 音楽 きだしゅんすけ
照明 佐藤浩太 録音 小川武 美術 禪洲幸久 編集 佐藤崇 衣裳 宮本茉莉 主題歌 橋本環奈

出演 橋本環奈、長谷川博己、安藤政信、大野拓朗、宇野祥平、古舘寛治、北村匠海、前田航基
ささの友間、柄本時生、岡田義徳、奥野瑛太、鶴見辰吾、榎木孝明、伊武雅刀、武田鉄矢

2016年3月5日(土)全国公開
(C) 2016「セーラー服と機関銃―卒業―」製作委員会


 赤川次郎の大ベストセラー小説「セーラー服と機関銃」は1981年に映画化、1982年に連続ドラマ化、2006年には再びドラマ化され、時代とともに語り継がれてきた。そして2016年、その後日談にあたる「セーラー服と機関銃・その後—卒業—」の映画化がついに実現。まったく新しい「セーラー服と機関銃」ワールドで、35年の時を超えて、スクリーンに描き出される。トップスターへの登竜門といえる本シリーズで今回、ヒロインの星泉に抜擢されたのは話題沸騰中の橋本環奈。本格的な演技に挑戦するのは今回が初めてだが、映画主演デビューとなる本作ではトレードマークのロングヘアをバッサリと切り、薬師丸ひろ子、原田知世、長澤まさみと名だたる女優陣が演じてきた役柄を受けつぐプレッシャーを背負いながらも、女優として歩み始める決意を表明した。監督は『婚前特急』『夫婦フーフー日記』などの話題作を発表してきた気鋭の前田弘二。型破りな女性をコミカルかつキュートに描くことに定評のある彼が、朋友の脚本家・高田亮と組んで原作の世界を大胆にアレンジ。まだ何色にも染まっていない橋本環奈というミューズを得て、今しかとらえられない彼女のフレッシュな魅力を引き出した。また、本作は『犬神家の一族』『時をかける少女』などを送り出してきた角川映画40周年記念作品となる。中でも相米慎二監督が手がけた映画版『セーラー服と機関銃』は、斬新な作風ながら1982年の邦画配給収入一位を記録する大ヒットとなった。奇しくも原作者の赤川次郎も作家生活40周年をむかえる2016年、このメモリアルイヤーにふさわしい『セーラー服と機関銃 -卒業-』で、角川映画は新たな歴史の幕開けを飾る。


※物語の結末にふれている部分がございますので予めご了承下さい。
 星泉(橋本環奈)は一見ごく普通の女子高生だが、一年前まで亡き伯父から引き継いだ弱小組織・目高組の四代目組長として、ヤクザの頭を張っていた。しかし敵対する浜口組に、目高組の縄張りである地元商店街には手出しをしないという協定を結ばさせ、その引き換えとして目高組は解散。今は元組員の晴雄(宇野祥平)や祐次(大野拓朗)、土井(武田鉄矢)たちと一緒に「メダカカフェ」を開いている。ある日、泉と同じ高校に通う女子高生がメダカカフェに相談にやって来た。近ごろ地元でモデル志望の女の子たちに高い登録料を払わせ、無理な接待を強要するモデル事務所があるというのである。正義感が強い泉は早速モデル事務所に乱入、そこで組織のバックに浜口組がついていると聞かされる。同じ頃、街では怪しげな“麻薬クッキー”が出回り、女子高生が命を落とす事件も起きていた。自分たちの街に危険が及んでいることを察知した泉たちは独自の調査に乗り出す。すると介護施設や病院、学校の建設、製薬会社までグループ経営で都市開発を進める「ホリウチ都市デザイン」なる会社の存在が浮上してくる。実はその正体は堀内組というヤクザだったのだ。堀内組は市長選に立候補しているくさかべ(鶴見辰吾)や警察の人間までをも抱き込んで、街を乗っ取ろうとしているという。それを教えてくれたのは、濡れ衣を着せられ堀内組傘下となった浜口組の幹部である月永(長谷川博己)だった。月永は泉たちに自分と手を組んで堀内組の開発を阻止しようと持ちかける。早くに両親を亡くし、親代わりだった伯父も銃弾に倒れ、これ以上大切な人を失いたくない泉の心は戸惑いながらも揺れ動く。堀内組はどんどん勢力を伸ばし、泉たちは逆に住人から「害のある暴力団」として攻撃され、ついには土井が逮捕されてしまう。堀内組の黒幕を探っていた泉も襲われるが、危ういところを月永に助けられる。もはや一刻の猶予もなかった。泉は目高組の再結成を決め、堀内組の黒幕・安井(安藤政信)の元へと乗り込む。「私が、この街を守る!」。


 薬師丸ひろ子と角川映画が低迷する日本映画界で次々とヒット作を連発していた1980年代初頭。その代表作にして日本映画史の金字塔に輝く名作となったのが『セーラー服と機関銃』だ。その後、長澤まさみが主人公を演じるテレビドラマ版が作られるが、映画としては実に35年ぶりの続編となる。ただし、相米慎二監督による前作からの続編ではなく(組員は前作で全員死亡している)、赤川次郎の原作の続編を映画化したものだ。いきなり機関銃をぶっ放し、あの「か・い・か・ん」の決め台詞から始まる前田弘二監督版は、リアルタイムで角川映画を観ていた思い入れのある世代が作った感じが伝わってくる。何と言っても監督以下、主要なスタッフ(脚本・撮影・照明・編集)が皆1970年代生まれで、角川映画全盛期を肌で感じている世代だ。だからだろうか?同じように思い入れのある観客のファン心を刺激する嬉しい作品となっていた。
 今回、主人公・星泉を演じた橋本環奈が現代に生きる女子高生らしいストイックな生理を前面に押し出して、薬師丸版星泉とは違った強さを見せてくれるのが実にイイ。かつて、映画評論家の北川れい子先生が、「スクリーンの可愛いペットといった趣そのまま」と劇中の薬師丸を評していたが、彼女が時折見せる学芸会的な口調がコケティッシュな魅力を振りまいていたのに対して、橋本に関して言えば、およそ女子高生らしくない至ってクールだ。印象的なのは目。原作のタイトルが当初『セーラー服と機関銃 その後』であった事からも分かる通り、それは数々の修羅場を体験してきた“その後”の少女の目だ。クライマックスの激しい銃撃戦で命を落とした組員を埋葬するため、真夜中の山中で穴を掘るシーンがある。彼女を助けていた長谷川博己演じる抗争相手の若頭・月永が実は彼女の叔父・目高組組長を殺した人物と知るのだが、この時、睨みつける橋本の目が暗闇の中で光る…この前田監督の演出はただ者ではない。勿論、照明の佐藤浩太の手腕に因るところも大きいのだが…(ひとつ前の作品『悼む人』のライティングも素晴らしかった)。
 もうひとつ本作で特筆したいのは、走るシーンの躍動感だ。角川青春映画の特長は、実写であってもアニメであっても少女の走る姿にカタルシスがあった事だ。本作でも撮影監督・相馬大輔のカメラが主人公と共に追いかけたり逃げたり…縦横無尽に動きまわる。若者に蔓延する薬を飲んでいた女子生徒が錯乱して、その後を追いかける泉を真横からカメラは捉え、校庭を移動する。このシーン…前作で、校門で整列する黒服ヤクザの集団に泉が一人で向かって行く前半の見せ場を彷彿とさせるではないか。また、伯父の命を奪った男と知らずに淡い恋心を抱く泉の心情イメージを見事に表したのが、敵対する殺し屋から入り組んだ狭い路地を全力で走るシーン。月永に手を取られた泉が、そんな事態の中で自然と浮かべる笑み…そして、走る二人がスローモーションになって、そこへ雨が降る…躍動感と高揚感が相まったファンタスティックな映像演出に、これこそが角川青春映画の真髄だ!と、思わず溜息をついてしまった。
 ちなみに二人が襲われるのは群馬県高崎市にある「高崎電気館」という古い映画館。オーナー夫人が、長く残して欲しいからと映画館を市に寄付したという。先日取材させてもらったが、メンテナンスが行き届いたとても良い映画館だった。映画を観ているシーンもあったが、上映されていたのは渡辺典子主演の『晴れ時々殺人』。残念ながらエンドクレジットで分かった。二人が逃げる路地も映画館周辺の柳川町にある飲み屋街だ。本作では架空の街としているが、それでも高崎市内にあった商店街もシャッターが目立つ。劇中、街を手中に収めようとする組織の黒幕(演じる安藤政信が『GONIN サーガ』に続く最高のヒールを披露する)が言う「街を守る唯一の方法は、若者が街を出て行かない事だ!」というセリフは考えさせられる。

「私はこんなの気に入らない。絶対!気に入らない!」クライマックスで橋本環奈が吠える。

【前田弘二監督作品】

平成20年(2008)
くりいむレモン
 旅の終お
わり

平成23年(2011)
婚前特急

平成24年(2012)
太陽は待ってくれない

平成25年(2013)
ラブ・スウィング
 色々な愛のかたち

平成26年(2014)
わたしのハワイの歩きかた

平成27年(2015)
夫婦フーフー日記

平成28年(2016)
セーラー服と機関銃 -卒業-



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