照明技師・安河内央之氏が主宰する映画制作を志す監督・俳優を支援する団体“アキルフィルム”に参加する宮本正樹監督。これまで4本のショートフィルムを手掛け、その中の村上淳主演による『うそつき由美ちゃん』は、“フィルム・ラバーズ・フェスタ2004”と“2006年黒澤明記念ショート・フィルム・コンペティション”で奨励賞を獲得。今までは映画祭での上映がメインだったが、いよいよ今年の4月に“ブリリア ショートショート シアター”にて、1ヵ月間に渡る特集上映が行われる。

 元々映画を観るのが好きで、80年代のハリウッドアクション映画を観続けている内に「自分も日本映画で、こんなエンタテインメントに徹した映画を作ってみたい」と思った時から、漠然と映画の世界に進もうと意識し始めたという宮本氏。その後、日本大学芸術学部映画学科に進学して、数本の短編映画を初めて制作した。「ただ…卒業制作で作品を撮った時、自分で納得出来るのもでは無かったため、そのまま大学院に遺って映画を作り続けていたのです」と語る宮本氏が、安河内氏と出会ったのは、大学院の修士課程で制作した作品を発表した上映会の時だった。大学院で博士号を取得した後、アキルフィルムの理念に賛同した宮本監督は現在はフリーで映像の仕事に携わっている傍らアキルフィルムでの活動を続けている。

 27歳の時より参加しているアキルフィルムでは、現在に至るまで4本のショートフィルムを手掛けて来た宮本監督は、原案、脚本から考える際に「元々、分かりやすい映画が好きなので、短編と言えども起承転結があって、テーマも分かりやすく観客に伝わる…というのを目指しています」と語る。今まで手掛けて来た3作品には何と、俳優の竹中直人氏、村上淳氏、坂井真紀さんという蒼々たる顔ぶれが出演されている。これは、主宰の安河内氏が呼びかけて実現した事であるが、こうした名の知れ渡った俳優が出演するというのは、ショートフィルムの世界では、かなり異例と言っても良い程。「やはり、撮影も一日で終了するように調整するといった作業も学ぶ事が出来ました。その中で、自分のやりたい事をミックスさせてストーリーを考えていきました」という宮本監督の作品について、主宰の安河内氏からも上手いというお墨付きをいただいている。

 自分の思いがちゃんと観客に伝わる事を一番に考えている宮本監督が映画制作に当たって崩さない姿勢は“どんな作品にも軽いどんでん返しが存在するという事”。「そういうのが好きなんですよね(笑)。先にどんでん返しを考えちゃって組み立てているところはあります」村上淳氏が出演している『うそつき由美ちゃん』は、まさにどんでん返しの後に更なるどんでん返しが用意されている程。まず、結末を考えてからストーリーを後付けする…という逆流パターンで作品を練り上げて生まれた作品と言っても良いだろう。一方で、竹中直人氏が出演する『夢』は正攻法な作り方で、女優になって田舎に帰って来た女性の心理を真っ向から描いていたりする。「観客に夢を提供したい…ポジティブに頑張って行こうと思える作品づくりをして行きたいです」と熱く語る宮本監督が抱く今後の目標は「長編にチャレンジしたい」という事。近い将来、夢と希望に溢れた娯楽映画がスクリーンに映し出されるかも知れない。


1973年神奈川県生まれ。 日本大学芸術学部映画学科に入学し、監督コースにて映画製作を学ぶ。その後、大学院へ進み博士号を習得。大学院の修士課程において制作した作品を発表する上映会にてアキルフィルムを主宰されている安河内央之氏と出会い、現在は、フリーの映像ディレクターとして活動する傍ら、アキルフィルムに監督として参加している。
村上淳主演による『うそつき由美ちゃん』は、 黒澤明記念ショートフィルム・コンペティション2006において奨励賞、小津安二郎記念蓼科高原映画祭2006で短編コンクール入賞、富士フィルム主催フィルム・ラバーズ・フェスタ2004にて奨励賞を受賞している。また、竹中直人監督の短編映画『u2』の出演者オーディションの模様を編集した『オーディション・ザ・ムービー』では、フィルム・ラバーズ・フェスタ2007でグランプリを獲得。
【監督作品】

平成16年(2003)
うそつき由美ちゃん
20年後の約束

平成19年(2005)
オーディション・ザ・ムービー

平成21年(2009)

平成26年(2014)
共に歩く



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